結婚記念日で6,7,8日と知床に行って来ました。一日目は網走からオシンコシンの滝、二日目は知床五湖のウォーキング、と言ってもガイド付きのゆっくりした散策。その後、羅臼へ。そして知床世界遺産クルージング。8日は午前中にプレペの滝の散策。小旅行でしたが知床を満喫しました。ウトロから知床峠を抜け羅臼へ抜ける道沿いで蝦夷鹿をたくさん見ました。また知床世界遺産クルーズでカムイワッカの滝の山肌にヒグマを発見しました。これだけ自然に鹿やヒグマが人間と共生していることも面白いことですが、知床の自然のサイクルが分かりやすく、小世界です。ロシアと中国の国境を流れるアムール川の水が冬になると凍り、オホーツク海で流氷として流れ着きます。流氷とともに豊富なプランクトンが知床に来て、魚が豊富で、アザラシや鳥が生息。そして鮭をヒグマが食べて、山で糞をすると、栄養豊富な糞は、山の植物を実らせます。ヒグマの堆肥で豊かな土壌の知床の植物は先週の尾瀬のミズバショウよりはるかに大きく、蕗の茎などは直径2cmぐらいあります。ヒグマが食物連鎖の頂点ですが、その排泄物が肥料になるとは、江戸の下肥商人がヒグマという訳です。北海道にいるヒグマ3000頭のうち、300頭が知床に生息するらしく、まるで日本における渋谷の交差点のような熊密度です。この自然の循環サイクルは環境客を呼び、ウトロの街は漁業と観光で成り立っています。泊まるホテルにレンタカーを横付けすると、60代と思われる人、40代と思われる人、20代と思われる人と、いろいろな世代で構成されたホテルの従業員が出迎えてくれます。自然と人が共生しているとは、人の仕事までを含んで、初めてバランスが取れているのではないかと思わせる光景です。最近、派遣労働の一般化からか蟹工船という小説がブームのようですが、環境が経済システムにビルトインすると、今までの2元的な考えとは次元が違って来るような気がします。
今回の旅のもうひとつの楽しみはキンキです。流氷が去ったオホーツク海はキンキの漁場です。網走でのランチは「花のれん」で釣りキンキの刺身、鮨、そして塩焼きを堪能。羅臼では「純の番屋」でキンキの煮付け定食とウニたっぷり。キンキは脂が乗っていて本当においしかったです。知床ですから、ホタテ、蟹、ウニはホテルの晩御飯でも食べれますが、キンキは別格の魚。長崎のクエと並んでうまい魚です。しかし、たくさん食べすぎでしばらくキンキはお休み。
ヒグマにソーセージを投げ与えると、ソーセージを食べたヒグマはそのおいしさを覚え、その匂いのする民家に近づき、そして人を襲う。そのヒグマは射殺せざるを得なくなる。無頓着な観光客がヒグマを殺人鬼にしたり、ヒグマの命を奪ったり。たった1本のソーセージが起こす悲劇。これをエシカルが制御するのか、リーガルが制御するのか。現在、知床は世界遺産に登録されてエシカルで制御されています。この地にはこんなことをリーガルで制御する時が来ないことを祈っていますが、環境サイクルと経済システムはいつかリーガルで制御することが必要な時代に(進化した資本主義?)なるのでしょうか。知床はそんなことも考えさせてくれるところでした。
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