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懐古園 |
小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾の岡辺
日に溶けて淡雪流る
10月6日(月)、7日(火)の二日間、島崎藤村の詩で知られる小諸を訪れました。隣の佐久平に新幹線駅ができて以来、かつての賑わいを失ったとも言われる小諸ですが、駅構内には地元の野菜が並び、すぐ裏手の小諸城跡・懐古園には、いまもなお情緒が漂っています。
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小諸駅の野菜売り場 |
わさび菜をつゆに添えても味わい深い。東京の白く繊細な更科、山形の素朴な田舎蕎麦、それぞれに魅力はありますが、蕎麦を知り尽くした信州の蕎麦は、やはり格別です。
移住の候補地として不動産屋を訪れるのが目的でしたが、浅間山の裾野である小諸は石灰岩の土壌で昼夜の寒暖差が大きいため、マンズワイン小諸ワイナリー(老舗、ソラリスの醸造など)、ジオヒルズワイナリー(丘の上のワイナリー兼カフェ)、Komorokko Farm & Winery/スタラス小諸、城下町アンワイナリー、テールドシエル、ドメーヌ・フジタなど、複数のワイナリーが点在しています。そこで、訪れた不動産屋から一番近いマンズワイン小諸のワイナリーを訪れることにしました。
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浅間山から流れる清流 |
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ちょうど稲刈りが終わったところ |
ワイナリーの庭の景色に、どこかで見たような記憶がよみがえりました。それは、かつて訪れたボルドーのシャトー・マルゴーの庭によく似ていました。
2010/12/15【France】ボルドー・サンテミリオンとアルカッション
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土壌(テロワール) |
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ワイナリーの楽しみは、何と言っても試飲です。「小諸シャルドネ」「小諸メルロー」「東山メルロー」の3種を試飲しましたが、どのワインも想像以上に美味しく、日本ワインのレベルが着実に上がっているのを実感しました。
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「小諸シャルドネ」「小諸メルロー」「東山メルロー」 |
帰りのタクシーで運転手さんと雑談していると、地元の人は『丁子屋』にはあまり行かないそうです。代わりに、知る人ぞ知る名店が駅前にあると教えてもらいました。それが『笊蕎麦 刻(トキ)』です。明日、さっそく訪れてみようと思います。
懐古園近くにある宿泊の『小諸グランドキャッスルホテル』は源泉かけ流しの温泉とバイキングが名物です。
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小諸と浅間山 |
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中秋の名月 |
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バイキング |
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翌日、さっそく知る人ぞ知る蕎麦の名店『刻』へ。メニューは「ざる」「田舎」「つけとろざる」「二色もり」「かけ」「そばがき」の6種類だけ。天ぷらなどはなく、純粋に蕎麦を味わいたい人のための店です。
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ざる |
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田舎 |
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そばがき |
濃いめのつゆにどっぷりつけるのではなく、刺し身に醤油をつけるような感覚で食べると、蕎麦の風味が際立ち、美味しさが増します。「二色もり」には太くて硬い蕎麦もあるので、食感の違いを楽しめます。はじめて注文したそばがきは、注文を受けてからそば粉を挽いて作るとのことで、驚きました。『丁子屋』より、蕎麦通が好む美味しさを追求しているのが『刻』なのです。
小諸からしなの鉄道の大屋(上田市丸子)にあるメルシャンのワイナリーも訪れることにしました。ありがたいことに、大屋駅に併設されている郵便局で荷物を預かってもらえることになり、機転の利く親切な信州の人に感謝です。
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ワイナリーからの雄大な景色 |
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小諸とは土壌が違います。 |
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樽で熟成中 |
ここでも試飲です。赤3種と白3種の2タイプを二人で頼み、飲み比べてみました。想像以上にピノ・ノワールとシラーの赤が美味しく、これには驚きました。これまで日本の赤ワインといえばメルローしか飲めないと思っていましたが、作り手の努力がしっかりと伝わってきます。
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「北信ピノ・ノワール」「まりこシラー」「まりこ」 |
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「北信左岸シャルドネ」「北信右岸シャルドネ」「北信シャルドネスペシャル」 |
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メルシャンのワイナリーは丘の上 |
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バス停のモニュメント |
帰りはバスで大屋駅へ向かいます。たった2日の旅でしたが、秋の信州を存分に楽しめました。日本のワイン作りや信州の蕎麦のレベルには、改めて感嘆します。新しい場所には新しい発見があり、旅の楽しさを改めて感じました。
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