2025/10/11

【Japan】小諸のワイナリーと、知る人ぞ知る蕎麦の名店『刻』

 

懐古園

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾の岡辺
日に溶けて淡雪流る



 10月6日(月)、7日(火)の二日間、島崎藤村の詩で知られる小諸を訪れました。隣の佐久平に新幹線駅ができて以来、かつての賑わいを失ったとも言われる小諸ですが、駅構内には地元の野菜が並び、すぐ裏手の小諸城跡・懐古園には、いまもなお情緒が漂っています。

小諸駅の野菜売り場

 信州と言えば蕎麦。小諸では名店として知られる『そば蔵 丁子屋』を訪れました。




 わさび菜をつゆに添えても味わい深い。東京の白く繊細な更科、山形の素朴な田舎蕎麦、それぞれに魅力はありますが、蕎麦を知り尽くした信州の蕎麦は、やはり格別です。 

 移住の候補地として不動産屋を訪れるのが目的でしたが、浅間山の裾野である小諸は石灰岩の土壌で昼夜の寒暖差が大きいため、マンズワイン小諸ワイナリー(老舗、ソラリスの醸造など)、ジオヒルズワイナリー(丘の上のワイナリー兼カフェ)、Komorokko Farm & Winery/スタラス小諸、城下町アンワイナリー、テールドシエル、ドメーヌ・フジタなど、複数のワイナリーが点在しています。そこで、訪れた不動産屋から一番近いマンズワイン小諸のワイナリーを訪れることにしました。

浅間山から流れる清流

ちょうど稲刈りが終わったところ

マンズワインの葡萄畑

 ワイナリーの庭の景色に、どこかで見たような記憶がよみがえりました。それは、かつて訪れたボルドーのシャトー・マルゴーの庭によく似ていました。


土壌(テロワール)



 ワイナリーの楽しみは、何と言っても試飲です。「小諸シャルドネ」「小諸メルロー」「東山メルロー」の3種を試飲しましたが、どのワインも想像以上に美味しく、日本ワインのレベルが着実に上がっているのを実感しました。

「小諸シャルドネ」「小諸メルロー」「東山メルロー」

 帰りのタクシーで運転手さんと雑談していると、地元の人は『丁子屋』にはあまり行かないそうです。代わりに、知る人ぞ知る名店が駅前にあると教えてもらいました。それが『笊蕎麦 刻(トキ)』です。明日、さっそく訪れてみようと思います。

 懐古園近くにある宿泊の『小諸グランドキャッスルホテル』は源泉かけ流しの温泉とバイキングが名物です。

小諸と浅間山

中秋の名月

バイキング

 なぜバイキングの写真を載せたかというと、隣の席の夫婦が、バイキングでたくさんの食材を二人で運び、せっせと袋に詰めていたからです。その光景は、イスラエルのエイラットのホテルで見かけたデジャブのようでした。ユダヤ人のおばさんが、大量の朝食バイキングのパンや食材を袋に詰めていたのを思い出したのです。ホテル側も困っているのかもしれませんね。

* * * *

 翌日、さっそく知る人ぞ知る蕎麦の名店『刻』へ。メニューは「ざる」「田舎」「つけとろざる」「二色もり」「かけ」「そばがき」の6種類だけ。天ぷらなどはなく、純粋に蕎麦を味わいたい人のための店です。



ざる

田舎

そばがき

 濃いめのつゆにどっぷりつけるのではなく、刺し身に醤油をつけるような感覚で食べると、蕎麦の風味が際立ち、美味しさが増します。「二色もり」には太くて硬い蕎麦もあるので、食感の違いを楽しめます。はじめて注文したそばがきは、注文を受けてからそば粉を挽いて作るとのことで、驚きました。『丁子屋』より、蕎麦通が好む美味しさを追求しているのが『刻』なのです。

 小諸からしなの鉄道の大屋(上田市丸子)にあるメルシャンのワイナリーも訪れることにしました。ありがたいことに、大屋駅に併設されている郵便局で荷物を預かってもらえることになり、機転の利く親切な信州の人に感謝です。

ワイナリーからの雄大な景色

小諸とは土壌が違います。

樽で熟成中

 ここでも試飲です。赤3種と白3種の2タイプを二人で頼み、飲み比べてみました。想像以上にピノ・ノワールとシラーの赤が美味しく、これには驚きました。これまで日本の赤ワインといえばメルローしか飲めないと思っていましたが、作り手の努力がしっかりと伝わってきます。


「北信ピノ・ノワール」「まりこシラー」「まりこ」

「北信左岸シャルドネ」「北信右岸シャルドネ」「北信シャルドネスペシャル」

メルシャンのワイナリーは丘の上

バス停のモニュメント

 帰りはバスで大屋駅へ向かいます。たった2日の旅でしたが、秋の信州を存分に楽しめました。日本のワイン作りや信州の蕎麦のレベルには、改めて感嘆します。新しい場所には新しい発見があり、旅の楽しさを改めて感じました。

2025/04/06

【Japan】蛇の池と日本一の桜回廊「見沼たんぼの桜回廊」


 4月4日、大宮の氷川神社から出発し、全長20kmにわたる日本一の桜回廊「見沼たんぼの桜回廊」を散歩(ナノツアー)しました。

 散策のスタート地点は「蛇の池」です。氷川神社は、蛇を祀った蛇の池が起源だと言われており、出雲系との関連が感じられます。埼玉には出雲系の人々が開拓に来たとも言われ、久喜市にある鷲宮神社もその一例です。氷川神社自体は天孫系の神社とされていますが、後からそうなっただけで、もともとは出雲系だった可能性もあります。


 氷川神社から大宮公園の桜まで歩いて行きました。公園は花見を楽しむ人で賑わっています。池の近くで満開の桜を眺めながら、屋台のイカ焼きと、持参した稲荷寿司と卵焼きを食べました。外で食べるランチはとても気持ちよかったです。








 見沼用水路が通る大和田公園という広くて大きな公園に驚きました。この春の風景は、日本ではなかなか見られない壮大な景色です。



  見沼用水路には桜並木が続いており、途中にベンチや風車があり、春の穏やかな風景が広がっています。

 4月に入ってから九州での桜と埼玉ののどかな風景に触れ、行き詰まっていた仕事がスムーズに進んだように感じました。自然の力に感謝しています。


【Japan】出雲族の宗像大社と九州大学と太宰府天満宮


 3月31日と4月1日に、九州大学への出張のついでに、少しだけ観光もしました。前回は鷲宮神社に行きましたが、今回は出雲系の神社である宗像大社を訪れました。出雲系の神社は縄文時代の文化にルーツがあるとされており、日本人の深い心の奥に残る古い文化(集合的無意識)が今も感じられる場所です。そのため、最近は出雲大社に行ったあとに、ほかの出雲系の神社もよく訪れるようになりました。

【2023年7月】ツングース系の出雲を訪ねて
【2025年3月】出雲族の鷲宮神社と宇都宮の餃子




万葉の詩人が並べてある


各地の神を祀る出雲大社に似ている


出雲大社に似ている


 宗像大社の扉には菊の御紋(天皇家の紋章)がついていて、一見すると天孫族(天照大神の子孫を中心とした神々)の神社のように見えます。でも、「大社(たいしゃ)」という名前がついていることからもわかるように、本来は出雲族(出雲の神々)にゆかりのある神社だと思われます。また、「宗像(むなかた)」という名字は長野県にも多く見られるので、諏訪大社とのつながりも深いのではないかと感じました。

 日本人が意外と知らない「伊勢神宮」と「出雲大社」二大神社の違い

 宗像市から福岡市内に戻ったあと、黒田官兵衛が築いた福岡城の跡地にある舞鶴公園に桜を見に行きました。その日はちょうど桜が満開で、公園には花見を楽しむ人たちがたくさん集まり、にぎやかな雰囲気でした。





 ホテルの近くにある櫛田神社にも立ち寄りました。境内には、博多の伝統行事「博多祇園山笠」で使われる大きな山笠(飾り山)が展示されていて、迫力がありました。



  夕食は、ホテルの近くにある水炊き専門店「博多華味鳥」でいただきました。今回の旅行では、博多の名物料理である「水炊き」「とんこつラーメン」「ごぼ天うどん」、そして竹乃屋で「ぐるぐる鶏皮」を食べることができました。「鉄板餃子」と「モツ鍋」は、次回の楽しみにとっておくことにします。



 骨付きの鶏肉を4時間も煮込んでいるそうで、さらに自家製ポン酢がとても美味しかったこともあり、これまで食べた中で一番おいしい水炊きでした。あまりに気に入ったので、ポン酢をお土産に買ってから、今度は屋台へ向かいました。


  屋台は2軒まわり、川沿いの屋台ではとんこつラーメンと焼きラーメンをいただきました。やはり食べ物は、その土地で本場の味を実際に食べてみないと、本当の美味しさや雰囲気はわからないものだと実感しました。


猫もいました

 翌日は桜が満開の九州大学を訪れました。筑後キャンパスの門は思ったよりも狭かったです。午前中に仕事を終わらせ、午後には太宰府天満宮に向かいました。

腰のないごぼ天うどん。


太宰府天満宮入り口












 上野の湯島天満宮と同じように、ここにも菅原道真が愛した牛(古くから牛は学問や知恵を象徴する動物)の像がありました。入試シーズンはもう終わっているはずですが、桜が満開の時期だからか、驚くほど多くの人で賑わっていました。


 最後に空港で食べたのは、竹乃屋の「ぐるぐる鶏皮」です。油がしっかり落ちていて、何本でも食べられます。福岡出張の楽しみと言えば、やっぱり食べ物ですね。