2014/07/23

【Japan】南青山4丁目のフロリレージュ

 数年前に訪れた南青山のBARで、4丁目にフロリージュという評判のフレンチレストランがあるという情報を仕入れ、6月の結婚記念日に訪れてみようということになりました。フレンチレストランは2012年に広尾のひらまつ(ひらまつ広尾の鴨フォアグラのキャベツ包み)に行って以来2年ぶり。

場所は分かりにくい住宅街の中、鏡の看板
(場所は分かりにくい住宅街の中、鏡の看板)

 サイトで価格など確認すると、とてもリーズナブルでシェフの川手寛康さんは、白金台のカンテサンス(白金時代のカンテサンス)、西麻布のル・ブルギニオン(久しぶりのフレンチ ル・ブルギニオンの元シェフということで味も心配なさそうだと、6月初旬の結婚記念日に合わせ524日に予約したら、ほぼ2か月先までいっぱい。予約可能な2か月以内ギリギリの昨日(722日)訪問することができました。

 料理はお任せコース、さらにワインもソムリエが料理に合わせるお任せコースを選びました。


 まずは、乾杯のシャンパーニュ!Laherte Freres ラエルト・フレール。
久々のシャンパーニュなので余計に美味しく感じたのかもしれないけど、バランスの良いなかなかのものでした。ネットで検索すると、今注目のメゾンだそうです。お安いしお買い得。ショップで探してみよう。


 アミューズブーシュは、えんどうまめのフリット。中にはミルキーな風味のマッシュされたマメが入っていました。周りのエンドウマメは火が通っていないので、食べれません。飾りです。


 2つ目のアミューズブーシュは、四角いオリーブオイルという名前だったような・・・甘くないフレンチトーストをオリーブオイルで焼き上げたようなかわいいおまけ。


 パンは、食べるとどんどん種類の違うものが追加されます。つい食べ過ぎてしまう・・・これも変わった形で面白いですね。


 季節の前菜は、牡蠣。手前のサラダにはマヨネーズ風のドレッシングが液体窒素で固められていて、崩して一緒に食べます。その隣には、牡蠣を野菜で囲み焼いたものと液体窒素で固めたレモン汁。見た目と触感の面白さを狙っているのでしょうね。しかしお味は・・・何とも表現し難い。
 奥には、牡蠣の殻に牡蠣とミルク風味の泡の暖かいスープが入っています。一皿で熱い&冷たいのコントラストを楽しんで欲しいとのこと。


 白ワイン。ローヌ地方のDomaine
Georges Vernay ドメーヌ・ジョルジュ・ヴェルネで100%ヴィオニエ。牡蠣と合わせると苦味が強調される気がしました。 


  フォアグラの前菜。フォアグラはとろけるような焼き加減。そして横に2つ添えてあるソフトクリームのようなものがへーゼルナッツのクリームをサクサクのメレンゲにしたもの。フォアグラを口にしたら、すかさずメレンゲを手にとってサクッと食べて欲しいとのこと。この一皿でトロトロとサクサクの食感のコントラスト。先程の熱い冷たいというものとのコラボ。遊び感覚が多いのは結構だけど、味わいは?となると微妙。フォアグラは本当にトロトロで美味しかったです。単品で充分だったかも。


 フォアグラに合わせたのが、ギリシャ産の甘口酒精強化ワイン。酸味がもう少しあるととても良いですね。ギリシャ産は初めて。


 魚料理は、マナカツオとイカスミ・ライムソース添え。イカスミの中の枝豆とイカの角切りとの食感と魚のソフトな焼き加減を口の中で会わせるとボリューミーで濃厚ですが、奥にある透明のライムに付けて口に含むと、とても爽快な味わいに変化します。ライムの存在がとても良かったです。


 魚料理にはブルゴーニュのムルソー。最初は硬くて香りも少なかったけど、時間がたつにつれて深みが増してきました。


 肉料理。鳩のモモ焼きとごぼう。コロコロとしている赤いものは、赤ワインベースのソースを乾燥させたもの。鳩は旨みの濃い美味しさでしたが、バサバサしたソースの味のするものを一緒に口に入れるとボソボソしてしまい、鳩の旨みを舌で感じ取れなくなってしまいます。意外性が面白いかもしれないけど、ソースの方が食べやすいのでは?ごぼうもひげ状のものをスティックごぼうに巻き込んで焼いてあるけど、ひげ状のものがナイフで切り難く、食べるのに難儀しました。


 鳩にはボルドー・コートドゥブールのドメーヌ・ドゥ・カンブでメルロー主体。タンニンがしっかりあるけど樽香とチョコレート香のするなかなか飲みやすいワイン。


 肉料理は2皿といわれていたので、きっとこれが2皿目。鳩の砂肝と心臓のプチ串焼きと鳩で出汁を取った熱いスープ。熱いものをワイングラスのようなもので頂くのは初めて。さすがに割れにくい厚手のグラス。出汁がよく出たスープでした。


 最後のワインは南フランスのGIGONDASジゴンダスのドメーヌブリュセ。グルナッシュ主体。濃い紫色のしっかりした味わい。鳩やごぼうには合いますね。


 フルーツのデザート。パッションフルーツのミルクセーキみたいなムースをストローで頂く。種がバリバリ、美味しかったです。


 チョコレートのデザート。アツアツのチョコレートのオムレツ。外側のチョコ皮をスプーンでカットすると中からアツアツのチョコレートソースがトロリ。コーヒー風味の泡がアクセント。


 エスプレッソコーヒーにチェリーの飴ソース。チェリーの甘酸っぱさが食事の最後にお口をさっぱりさせてくれました。
 
 これらのコース料理を食べた感想は、「料理って本当に難しいなぁ…」でした。

 この日の客層は、我々以外20代~30代前半の若者ばかり。コース料理の金額も安いし、若い人たちの創作フレンチ入門編として良いかも。
 奇をてらうのは悪くないけど、食事として舌に乗せたときの味わいや食感も大切。カンテサンスの岸田周三さんの師匠の師匠本家パリのアルページュ(パリ・ブルゴーニュ、そしてアンマン・死海(前編))も焼き加減の最高さは当たり前として、別々なできあがりのものを一緒に口に入れて噛みしめたときのマリアージュ(一皿づつとコース全体の調和)が大変面白く、食感も味わいも計算された完璧な美味しさ。。
 あの舌に乗せたときの感動はなかなか経験できません。。

 アルページュの流れも引いているレストランなのだから、見た目面白い!というよりも、深い味わいを出す旨い食べ物の話題で盛り上がりたい。見た目の面白さは一度見たらお終い。旨さは、何度でも味わいたくなるものです。
 
 たまにしかいかないフレンチレストランはどうしても辛口になってしまいますね ^^;


2014/06/29

【Japan】岐阜城からの天下布武と紫陽花

 毎年、7月11日の父親の命日に近くなると墓掃除を行うため岐阜県郡上市白鳥へ帰省します。今回は弟家族や親戚を訪ねるため車で6月27日、28日に帰省。朝早く東京を出発し中央道から長良川の上流の田舎町に着くまで5時間半ぐらいです。

 そして、墓掃除と墓参りを済ませ、地元の「美人の湯」というアルカリ濃度の濃い温泉で汗を流し、田舎の親戚を訪ねた後に行きつけの「さくら」でお楽しみの夕食です。何の特徴もない田舎町ですが、自慢できるものというと、

 「長良川の郡上鮎と天然鰻」

 郡上鮎は長良川の上流の綺麗な水で育つためか、スイカの香りも強く、東京のフレンチレストランなどでも好評です。

「ちなみに郡上の鮎は鮎の評価コンクール(清流めぐり利き鮎会)で何度も金賞を受賞しており、東京のフレンチシェフ、特にナリサワなどで使われている食材です。岐阜の開化亭(和良の古田等さんの名物中華 開化亭)という独創的な中華を創造する店がルーツで、東京のフレンチ系シェフに和良川(郡上)の鮎が有名になりました。」

 そして、天然鰻。

 毎年帰省する毎に店に頼んで、1週間以内に捕獲(鰻は1週間ほどは水槽で生きる)できたら食べていますが、今年は久しぶりに1Kgの天然鰻(驚異の美味しさ、長良川の天然鰻(1Kg))の捕獲に成功しました。写真のように

「腹も黄色く正真正銘の長良川の天然鰻」


 通常のうな重は一人前250gぐらい(特上で300g)なので、1Kgとなると4人前です。大きな鰻ですが、長良川の清流で育っていますから泥臭さは、全く無く、たっぷり乗った身の脂もさっぱりしています。さっそく白焼きと蒲焼でいただきました。


 

 
白焼きの写真をClickすると身の厚さも分かると思いますが、1切れがずっしり重く濃厚です。通常日本鰻は5年から15年ほどの寿命だそうですが、1Kgは、およそ8年もの。

 そして、天然鮎の塩焼き。
 鮎は6月初旬に友釣りが解禁されてから1カ月以内の若鮎が大好物。8月下旬以降の落ち鮎も美味しいですが、若鮎のスイカの香りと、まるごと食べる腹の苦みがたまりません。



 お店の前の水槽のアマゴも悠々と泳いでいます。アマゴは清流でしか生きることができないため渓流で釣って自宅の水槽などに入れるとすぐに死んでしまいます。この店の水槽の水は清流の水が使われているのでしょう。見ているだけで涼しさを感じます。

 車の運転がありアルコールが飲めないのが残念ですが、満足感一杯になり、弟家族の住む大垣市に向かいます。三男が今年中学入学、次男は高校、長男は大学と男ばかりの子供ですが、東京に住むおばあちゃんと弟家族全員が顔を揃えるのは久しぶり。


 
翌日は、金華山にロープーウェイで登り織田信長の歴史探索をしました。最近の発掘調査で金華山麓にあった信長の自宅の全容が分かってきたようです。金華山の山麓に平屋の家を作ったらしいのですが、山麓斜面に階段状で4段の敷地を作ったので、正面から見ると大きな4階建ての豪邸に見え、金閣寺に似ていたそうです。室町幕府を完成させた足利義満を意識していたのでしょうか。。
信長の家の入口としては質素な正面玄関。

当時からある信長邸の庭の川。左は発掘中の信長邸。

 岐阜城からの濃尾平野の眺望。長良川の先は愛知県(伊勢湾)。

天下布武の印


 信長が岐阜城にいたのは9年間ほどですが、この城は山の頂上にあるため水は雨水を貯めたものを利用しており、籠城に向かない城とのこと。

   岐阜城での発見は、写真の地球儀と望遠鏡です。この地球儀を見ると信長は、

「天下布武を目的としていたのでなく、グローバル展開の手段」

 と考えていた可能性がありますね。それにしても当時のドメステックな感覚の戦国大名と比較すると桁違いの人です。

墓から眺める白鳥の景色。正面の峠(油坂峠)の向こうは福井県

 


 歴史上の偉人の話はこれくらいにして、今年も墓にはいつものように野に咲く紫陽花を飾りました。父親の葬儀の帰りに高速道路を通らず、ゆっくりと旧国道で長良川沿いを運転していたら、八幡自然公園の横に群生する紫陽花に目がとまり、その量と美しさに感動したときから紫陽花が大好きになり、以来、先祖の墓には野に咲く紫陽花を飾ることにしてます。。

2014/05/18

【Japan】明治神宮と筑波山、第2次プリミティブな日本の自然

 5月17日は天気も良く、都内の新緑も綺麗だったので、渋谷で買い物帰り、明治神宮に立ち寄ってみました。


 それにしても、明治神宮前の楠の新緑は圧巻です。屋根の向こうに新宿のドコモの塔があるのも面白い構図ですね。ついでに、菖蒲の花はまだでしたが、500円を払い御苑に入ってみました。

 清正井(加藤清正の掘ったと伝えられる井戸)。

近くによると、確かに水が湧きでています。

近所の紫陽花(もうすぐ紫陽花の季節)。

 都内で新緑を楽しみ、日曜(18日)は麻布十番の竹の湯(黒湯温泉)でも行こうかと思いましたが、近所の江戸っ子が46℃のお湯でも「ぬるい」とリクエストし、店主が「さらに沸かす」のでゆっくり入ることができないことを思い出し、行くのを辞めました。ならば、電車で近くの温泉へでも行こうかと、弘法山でも登って秦野の鶴巻温泉でもと思いましたが、混雑する気がして、

「そうだ筑波山、行こう。」

と、筑波山を目指すことにしました。
 
 以前、筑波山に冬に登ろうと計画したとき、都合が悪くなりキャンセルしたことがあり、今回がはじめて。朝早く6:30に地下鉄に乗ったら、つくばエクスプレスとバスで8時30分には筑波山の入り口に到着します。

筑波神社で登山の無事をお参り。

登山道は整備され、ブナと杉の雑木林を歩きます。

弁慶七戻り(偶然石が挟まっている)

 
1時半ほどで女体山山頂(にょたいさん)へ到着。
遠くは霞ヶ浦(蝶3匹+1匹が右上に)。

 ロープウェー駅はピラテゥス山ロンドン、ルツェルン、メンヒヒュッテ、アイガートレイル)の駅に雰囲気が似ている(笑)。
つくばうどん(月見)のランチをいただく。

男体山(なんたいさん)から富士山方面を眺める。

帰りはロープーウェイで下山。
筑波神社で筑波山名物「ガマの油」の実演販売中。

最後は、「雲上の湯」でストレッチ。
眺めがいいので気分爽快。

  麻布十番の温泉が筑波山の温泉になってしまいましたが、明治神宮も、筑波山も、新緑が眩しいぐらいに輝いていました。日本の自然は開高健の表現によると「第2次プリミティブ(Primitive)」。
 
 だからこそ、美しい... 新緑に癒された休日でした。

 「私が、あっちゃこっちゃ釣り歩いて、魚釣りをした経験でいくと、魚釣りはプリミティブの度合いを探求する一番のいい方法のようなもんなんですがね。アマゾンとかあぁいうんは後退する一途!
 アラスカとかカナダとか住民が発達していて、民度が「魚を保護する」「大事にする」「自然を守る」という精神のある、自然の豊かな先進国ほど、プリミティブな自然が残されている。
 それはプリミティブとは言えない、人間が捕らないとか、放してやるとか、保護するとか、ふ化場を設けるとか色々努力したあげくの、それですから。

 いわゆる第1次プリミティブと言うよりは第2次プリミティブみたいなもんだけれどもインドネシアとかタイランドとかアマゾン、これらの国では第1次プリミティブが滅びたとたんにダメになってしまう。第2次植林しているまもなく、日光に焼けて木がただれてしまう。だからこの人が嘆くみたいにもうアマゾンがアカンという事になってくる。

 一種の倒錯現象ですわ。文明国であるほど自然があるということは! 」
                                           By 開高健(カナダ釣行 BS NHK)

2014/05/13

【Japan】無言館からじねんや糸川

 5月12日から13日と、1泊2日で新緑の信州でウォーキングを楽しみました。信州上田駅前の宿泊予定のホテルまでレンタカーで乗り付け、電車とバスでウォーキングの起点の無言館へ到着。



 無言館は第二次大戦に出兵したり、結核で亡くなった無名の画家の作品を遺族の方から預かり展示している美術館で、館長の窪島 誠一郎さんは水上勉さんの息子さん。戦地から家族への手紙にもデッサンなどが書かれていましたが、このような施設があると、残された絵も多くの人の目に触れることができますね。

 さて、無言館からウォーキングが始まり、前山寺、龍光院へ。


 曹洞宗の禅寺の龍光院で予約しておいた精進料理楽しみました。



(八角三重の塔)
 
 あじさい小路を歩き、塩田城跡地、塩野神社、中禅寺 薬師堂、そして別所温泉に入り、安楽寺 八角三重の塔、北向観音堂。
 この地は、優秀な宮大工さんが多かったのでしょうか、ユニークなお寺が多い。茅葺の寺の屋根などは、はじめて見ました。


 約10kmのウォーキングの目的地は別所温泉の大湯。地元の温泉で150円と破格の値段です。お湯の中でゆっくりとストレッチを行い上田駅前のホテルに戻ります。最近、温泉などの宿の食事がバイキングや、どこでも同じような食事が多いので、地元の料理を求め、夕食は地元の店で済ますことがあります。今回も上田駅前近辺で日曜営業の店に入りました。


 長野県の人はサバの水煮缶が好物らしく、居酒屋の定番メニューになっていました。その他、注文したものはイマイチ。どうやら若者向きの店に入ってしまったらしく残念な夕食になってしまいました。 


 翌日はコーヒーを飲みに「じねんや糸川」へ立ち寄りました。ここは糸川英夫さんが晩年を過ごした自宅で、友人たちと飲み明かしたところです。数年前から近所の人たちが喫茶店として営業をしており、久しぶり(1999年2月以来)に訪ねてみました。


 
  (ペンシルロケット)

   友人から、上田に来たら「つけば」をぜひ、と連絡をもらったので、「つけば」とは何かを検索し調べてみました。すると、産卵期のウグイが産卵しやすい小石を敷き詰めた「つけば」で、ウグイを獲る漁のことを「つけば漁」というらしいのです。生まれ故郷が長良川の上流(郡上市白鳥)のため、ウグイを食べる習慣がないためか、少し抵抗がありましたが、産卵期のウグイをつけば漁で獲り、塩焼で食べる「鯉西」という千曲川辺のつけば小屋を訪ねてみました。

 ヤナのような感じです。

 
 産卵期はオレンジ色の縞模様になるウグイ 。鮎のように草食でないので、ウグイは水槽で3日ほどおいて腹の中を空っぽにしてから焼く。


 一人前1200円で2匹、ウグイは鯉科で骨が固く、身しか食べませんがカマスのような味。

 
 学生時代にアルバイトを行っていた居酒屋の名前が、六文銭(名古屋市今池)だったので、勇気凛凛 六文銭の旗印が懐かしく写真に収めました(2016年のNHK大河ドラマは「真田幸村」とのこと)。

 今回のウォーキングは「じねんや糸川」「六文銭」と、20世紀(~1999年)までの過去を思い出す懐かしい旅になりました。